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トランクルーム最大手のエリアリンクが、2026年9月期の運営実績を公表した。主力ブランド「ハローストレージ」の月末総室数は13万8,050室、稼働室数は10万7,944室で、全体稼働率は78.19%。開設から時間が経った既存物件の稼働率は86.48%と高いが、新規開設物件は49.65%にとどまる。9月中は自社出店15物件618室、パートナー出店7物件749室の計22物件1,367室を新設し、退店は1物件33室のみだった。

引用元: エリアリンク、2026年9月のトランクルーム稼働率78.19%を発表(Kabutan)

分析・見解

新規49.65%と既存86.48%、埋まりきった物件と埋まらない物件の差

エリアリンクの発表で目を引くのは、全体稼働率78.19%という数字そのものより、既存物件と新規物件の差の大きさだ。開設から時間が経った既存物件は86.48%まで埋まっているのに対し、新しく開いた物件はまだ49.65%にとどまる。これはトランクルーム事業に特有の「立ち上がりの遅さ」を映す数字で、失敗の兆候ではない。新しい店舗は近隣住民に認知されるまでに半年から1年、満室近くまで埋まるにはさらに1〜2年かかるのが一般的だ。つまり49.65%という数字は、今後積み上がっていく稼働率の出発点にすぎない。

投資家や取引先がこの会社の実力を見るときは、全体稼働率だけでなく、開設から何年経った物件がどの稼働率にあるかという「年次別の積み上がり方」を確認したほうが実態に近づける。

パートナー出店1物件107室、自社出店41室という規模の違い

9月の新規開設を見ると、自社出店は15物件618室で1物件あたり約41室、パートナー出店は7物件749室で1物件あたり約107室になる。同じ「新規出店」でも、自社資金で開く店舗は小ぶりな都市型の物件が多く、土地所有者と組むパートナー出店は郊外や幹線道路沿いの大型物件が多いと読める。自社開発は少ない資金で素早く数を増やせる反面、1店舗あたりの収益は小さい。パートナー出店は土地所有者の資金を活用できるため大型化しやすく、1店舗が生む収益も大きい。この二本立ての出店戦略が、トランクルーム各社が規模を拡大しながらも資金負担を抑えられる仕組みの核心だ。

退店33室、都市型トランクルームの低い解約リスクを裏付ける数字

総室数13万8,050室に対し、9月中に退店したのはわずか1物件33室にすぎない。率にすれば0.02%程度で、賃貸住宅やオフィスの退去率とは比較にならないほど低い。トランクルームは一度契約した利用者が荷物を置き続ける限り解約しにくく、引っ越しのように住み替え需要が発生しにくい。立地が良ければ長期的に安定した収益を生みやすいビジネスという裏付けになる数字だ。

稼働率78%台が示す、まだ消化できていない需要の余地

全体で見れば、約22%にあたる3万室超が今も空いている計算になる。これを「稼働率が低い」と捉えるのではなく、「まだ市場に取り込める需要がある」と見るべきだろう。都市部の住宅が狭くなる傾向や、在宅勤務で物を自宅に置けなくなった人が増えていることを踏まえると、トランクルーム業界はホテルや駐車場のように稼働率90%超を目指す飽和期にはまだ入っていない。新規出店を続けながら既存物件の稼働率を上げていく、両輪の成長がもう1〜2年は続きそうだ。

ビジネスへの影響

出店余地を見るなら「新規49.65%」の地域内訳を求めるべき

投資家やフランチャイズ検討者が稼働率データを読むときは、全体の78.19%という数字だけで判断しないほうがいい。新規物件の49.65%は全国平均であり、都市部と郊外、競合の多い地域と少ない地域では大きく差が出ているはずだ。出店を検討する立場であれば、開示されている平均値ではなく、検討している地域に近い既存物件の立ち上がり実績を個別に確認することが欠かせない。

用地を持つ側は「小さく自社開発」より「大きくパートナー提案」を検討する価値がある

自社出店が1物件平均41室、パートナー出店が1物件平均107室だったことから、トランクルーム事業者は大きな土地ほどパートナー型の提携を好む傾向が読み取れる。遊休地や空き工場、閉店した店舗跡地などを持つ地主や企業にとっては、小さく区切って貸すよりも、まとまった面積で事業者に持ち込んだほうが提携の話が進みやすい可能性がある。土地活用を検討している企業は、面積をまとめて提案する交渉材料として今回の数字を使える。

退店の少なさは、価格を強気に見直す根拠になる

総室数に対して退店が1物件33室という低さは、利用者の入れ替わりが少なく、値上げをしても解約が急増しにくいことを示している。既存のトランクルーム事業者にとっては、稼働率が十分に高い物件で賃料を見直す際、強気の価格設定を検討する材料になる。一方で、新規参入を狙う企業にとっては、価格競争よりも立地と認知の浸透に時間をかける戦略のほうが合理的だということも、今回のデータから裏付けられる。

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